セックスレスからの浮気不倫と離婚|元刑事探偵が解説

セックスレスとは夫婦間での性交渉が長期間ない状態のことをいいます。

夫婦は互いに貞操義務(配偶者以外の異性と性交渉していはいけないこと)を負っているので、

  • 円満な夫婦関係を保つため
  • 相手からの愛情を感じる手段
  • 夫婦間のコミュニケーションの一つ

として夫婦間の性交渉はとても重要といえます。

でも実は多くの夫婦がセックスレスで悩んでいるのということをご存知でしょうか?

この問題は繊細な問題なだけに周りの人にも相談しにくいのが現状です。

私たちはセックスレスが原因での浮気・不倫、その結果離婚を選択した依頼者を沢山みてきました。

そうした経験を踏まえ、今回は探偵目線でセックスレスからの浮気・不倫と離婚について解説していきます。

セックスレスとは?その原因は?

一般的に1か月以上性交渉がない場合をセックスレスと定義付けています。

2013年に大手避妊具メーカーが行ったアンケートでは、既婚者の55.2%がセックスレスを自覚しており、40代~50代既婚男性の実に6割がセックスレスだと思っているという結果が出ています。

また別の調査では、20代~30代の比較的に若い夫婦でも半数以上がセックスレスになっているといわれています。

この結果からセックスレスはどんな夫婦でも起こり得る問題ということがわかるのではないでしょうか。

夫婦におけるセックスレスのきっかけは様々ですが、やはり妊娠・出産がその要因になることが多いといえます。

このタイミングに夫婦間でのセックスの習慣が減り、夫も年齢を重ねていくうちにセックスへの関心が落ちてくるため、女性がいざセックスしたくなってもできなくなってしまうのです。

妻が夫のセックスを拒否する理由としては、共働きの多い現代では、

  • 仕事や家事で疲れている
  • 仕事を子育ての両立で手一杯で夫の相手をするパワーが残っていない

などといった理由が多く挙げられています。

また子どもが生まれると夫を「子どもの父親」として見てしまい、さらに容姿が太ったり不潔になったりといった見た目の問題があると、なおさら性的な感情が抱けなくなったというケースもあります。

そして、セックスレスは男女ともに不倫につながる可能性は否定出来ず、不倫が原因での離婚やセックスレスが原因での離婚だってありえるのです。

セックスレスには浮気不倫の影がある?

夫婦間がセックスレスだとしても、直ちに表立って問題が生じるということは少ないと思います。

しかし、探偵目線ではセックスレスが浮気・不倫の潜在的な原因になっているケースは決して少なくないと断言できます。

大手避妊具メーカーが調査ではセックスが足りないと感じてる男女のうち、男性では75%が女性でも35%が「もっとセックスしたい」と考えているという驚きの結果があるくらいです。

セックスレスから不満を感じて他の異性に対し積極的になり、その結果、浮気・不倫がはじまったというケースを私たちは沢山みてきたのです。

男女別|セックスレスが原因の浮気の心理

(1)セックスレス原因で妻側が浮気・不倫する理由

ある統計結果によると働く女性の過半数が不倫を経験していて、その出会いの場は職場・仕事関係が全体の約7割というデータがあります。

不倫相手との出会い場は多様化しており、趣味のサークル、元恋人、友人、出会い系だったりと出会いのきっかけは本当に沢山あります。

過去の調査結果をみても、妻の不倫相手は職場・仕事関係、サークル仲間というのが非常に多いものでした。

またその背景には、夫婦間のセックスレスが原因というのもありました。

女性は40代から性欲が高まるといわれていますが、女性は性欲だけではなくセックスに心のつながりを大切にする生き物です。(過去の調査対象者の中には、複数人と不倫をしていたという強者の女性もいましたが…)

  • セックスレスによる寂しさ
  • 夫にセックスを拒否されたことへのショック
  • 女性としての魅力があることを再認識したい

など理由は様々ですが、その寂しい心の隙間を埋めてくれる相手がいたらなびいてしまうことだってあるということです。

逆に妻が浮気している場合は夫とのセックスを拒否しているパターンもありました。

女性は先ほど説明したとおり、恋愛感情とセックスの結びつきが強い傾向にあるので、浮気・不倫相手に本気になってしまうと夫に触られるだけで嫌悪感を覚える生き物なのです。

(2)セックスレス原因で夫側が浮気・不倫する理由

夫が妻との間でセックスレスになる理由としては、

  • 女性としての魅力を感じない
  • セックスを拒否されたことがある
  • 風俗などで性欲を満たせる
  • 勃起不全(ED)
  • 性的な自信の喪失

などがあります。

一般的に男性は心理的にとても繊細な人が多いといわれ、自分のセックスや性的機能を否定・拒否された場合、それが原因となって妻とのセックスができなくなったという人もいます。

そして、男性はおバカがつくほど単純な生き物です。

浮気・不倫に走った理由については「何度も顔を合わせるうちにそういう関係になってしまった」という言い訳をよく聞きます。

過去の調査結果をみても、夫の不倫相手は職場・仕事関係、キャバクラ関係というのが非常に多いものでした。

また、夫側は妻の妊娠・出産後に女性としてではなく母親として見えるようになり、セックスに対して消極的になってしまう男性も少なくありません。

妻側も産後の女性というのは母性が高まっている状態なので、身体の状態そのものが性欲が起こりにくい状態になっています。

そうした産後のセックスレスが続いたことが原因で、浮気・不倫に走ったということもよくあります。

セックスレスが原因で離婚できる?裁判で認めるその期間とは?

正当な理由なく性交渉を拒み続けていると離婚理由となります。

日本の法律は過去の判例からも夫婦間の性交渉を重要なものとしており、病気や年齢など正当な理由がなく性交渉を拒否することは、裁判所が離婚を認める離婚事由婚姻を継続し難い重大な理由に該当する可能性があります。

つまり、セックスレスが理由で離婚することは可能ということです。ただセックスレスで離婚が認められるにはその期間がとても重要となります。

例えば、性交渉を拒否した期間が仕事の忙しい1~2か月の間だけだったという場合では、その後に相手が応じる可能性もあるためセックスレスだと認めれません。

具体的なセックスレス期間の目安としては、少なくとも1年以上に渡って性交渉を拒否され状態だと裁判でもセックスレスが認められやすくなります。

逆にセックスレスの期間が長すぎればよいかというとそうではなく、この場合は性交渉がなくても婚姻関係を維持できていると判定される可能性もあります。

1番大切なことはセックスレスが原因で夫婦関係(婚姻生活)が破綻したかがポイントとなります。

夫婦間の性交渉は法律の世界でも重要と認識されていますが、セックスレスでも夫婦仲が円満であったり、お互いに性交渉がないことを不満に思っていなければ、いうまでもなくセックスレスを原因としての離婚が認められるわけがありません。

セックスレスが理由の浮気・不倫はOK?

たとえ夫婦にセックスレスという理由があったとしても、妻や夫が浮気・不倫して他人と性行為を行えば慰謝料を請求することは可能です。

どのような理由であっても浮気・不倫は肯定できるものではありません。

なので、基本的にはセックスレスという理由があったとしても、通常の不貞行為と同じように慰謝料を請求することができるのです。

その際に注意して欲しいことは、セックスレスを原因とする浮気・不倫が発覚するまでの間に夫婦関係が破綻していなかったかがポイントとなります。

もし夫婦関係が既に破綻しているのであれば慰謝料を請求することは難しくなります。

夫婦関係が破綻しているかどうかは、セックスレスだけでは判断できないので、

  • 夫婦間で会話や出かけることがどれだけあったか
  • 互いに夫婦関係を維持しようとする努力があったか

などを客観的にみて判断されます。

不貞相手に対する慰謝料請求は可能?

セックスレスが原因で浮気・不倫されたとしても、その不貞相手に対し慰謝料を請求することは勿論可能です。

ただし、その際は不貞相手においてこちらが既婚者であることを認識(知っている)していることが前提となります。

仮に独身と嘘をつき、相手もその嘘を信じてしまい、不貞相手に落ち度がない場合は慰謝料を請求することはできません。

また、慰謝料を請求した際、不貞相手側は夫婦間のセックスレスを指摘して、不貞行為時には既に婚姻関係(夫婦関係)が破綻していたので慰謝料を支払う義務はないという婚姻関係破綻の抗弁を主張してくるケースがよくあります。

でもセックスレスだけでは夫婦間が破綻している状況とはいえないため、不貞相手は慰謝料を支払う義務を免れないということです。

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